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nanoフライス盤 主軸のガタを取ってみた 

一連の換装作業は,Youtubeで公開します.本記事はその解説となります

主軸のガタがひどすぎた

  • 主軸の交換を行ったnanoフライス盤(こちらの記事
  • nano旋盤とnanoフライス盤に使われている樹脂製のジブを,真鍮製に置き換えるプロジェクトに着手し,エンドミルをチャックにくわえさせ,シミュレーションを行ってみた.すると,わかっていたことではあるが,ガタが大きい
  • ベアリングと,主軸がしばりばめできていないため,スラストベアリングでごまかしていたのだが,稼働前にできるだけの修正を試みることにした
  • 結果として,満足いく状態となったので,記事化しました

ガタの原因

  • 原因はどこにあるのか,ずっと気になっていた.ふと,主軸の直径に問題があるのではないかと考え計測してみた
  • ベアリング内径よりも,主軸直径が大きくないと当然ガタが出る
  • ハウジングに装着してあるベアリング内径:11.97mm
  • nano旋盤にセットしてある,主軸直径:11.96mm
  • 測定誤差があるのは当然だが,この値を信じるならやっぱり新しい主軸を購入して直径を計ってから再度の交換を行うかどうかを決めることにした
  • Aliexpress でこれを購入した.注文後に気が付いたのであるが,150mm ではなく100mmのものの方がよかったのかもしれない.Type A, C12-ER11-150Lが仕様である
  • 発送完了日: 2024/5/27 注文完了日: 2024/6/1 送料無料 1,653円
  • 到着後,直径を計測したところ,ベアリング内径よりわずかに大きかったので,換装を決定した

まずは解体

  • まずは,換装前の状態.主軸をダイヤルゲージのスピンドルと平行方向に押してガタをチェック
  • このダイヤルゲージの1目盛りは0.01mmなのでおおよそ10目盛り動いているのでガタは0.1mm程度あることになる.さすがにこれは気になってしまう
  • お知らせしている,nano旋盤とnanoフライス盤の真鍮製ジブ作製の準備をしていて,ワーク/エンドミル先端間のクリアランスを確認している時からにずっと気になっていた
  • 作業着手前にもう一度ダメもとで主軸直径とベアリング内径を計測してみることにした
    ベアリングは購入したものが4個セットだったので,未使用のもので計測した
    主軸は,nanoフライス盤に装着した状態で計測した
  • その結果,わずかだが主軸直径がベアリング内径より小さかった.1回目の換装ではこんなもんと思っていたのだが,そんなはずないだろと考えなおし,Aliexpressで良さそうな主軸を購入することにした
    そっちのサイズばかり頭にあったので,長さまでは考えが及ばず,何の疑いもなく150mm長を注文してしまった
    通販あるあるなのだが,サイズは100mmにしておけばよかったと後悔
  • 荷が届くと早速直径を計った.期待通りわずかだがベアリング内径より太い主軸が届いた
    1/1000オーダーではあるが,間違いなく太い.あんまり太くても,液体窒素など入手できないのでよさげなサイズ感である
  • nanoフライス盤からギアボックスアセンブリを外して,主軸タイミングプーリーを外す.イモネジ2本
  • スラストベアリングを外す.簡単に抜けてくる.後述するが,これはNG
  • 次いで主軸を外すのだが,悲しいことにするっと抜けてくる.これではガタが出るわけだ
    まあ.解体が楽で助かるが...
  • 主軸チャック側のベアリングハウジングを外す.粗悪なタッピングビス4本で固定されているが,微妙なネジピッチの違いがありそうなので,ここはそのまま使っている.ドライバの食いつきが悪くなめそうになるので要注意である
  • 主軸チャック側のベアリングハウジングを外す.かなりきつくはめ込んである状態なので,反対側からドライバーを入れて,ハウジング部分を叩く.ベアリング外輪が当たっている部分である

主軸を換装する

  • とリ外したハウジングに,主軸を入れる.主軸の端でわずかに抵抗があるが,ちょっと端を叩くと簡単に入る.簡単に入るがルーズフィットではなくいい感じのクリアランスである
  • さらにチャック側に滑らせていくと,急に抵抗が出てくる.手で入れるのは不可能なレベルである
  • 1回目の換装時に用意していた治具(鉄パイプ.詳細はこちらの記事で)を使用して叩き込む.主軸シャフトとベアリング内輪のはめあいなので,ベアリング内輪に力がかかり,破損リスクが出る.したがって,内輪用の鉄パイプを使用することになる
  • 硬い台の上で,木製ハンマーで叩きこんだ.かなりしっかりしたはめあいが得られたと思う
  • 次は,反対側のハウジングに装着されているベアリング内輪へ主軸シャフトを入れるのだが,先述の通りこちら側はすんなりと内輪を通る.しかし,決してルーズフィットではなく,ガタはない
  • 外したハウジングは,外すときにドライバーで叩き出したわけだから,入れるのも叩き込むしかない.ことの時向こう側のベアリング内輪とシャフトは抵抗がないので,叩き込んだ時に内輪に有害な力は加わらない
  • そこで,向こう側のベアリング外輪を鉄パイプ治具で抑え込んで,こちら側(主軸チャック側)のベアリング外輪を叩けば,こっち側のハウジングをベアリングを損傷せずにはめ込むことができる.外輪用の鉄パイプ治具は2個あるので可能なのである
  • 向こう側へはシャフトがつきだすので,1-2-3ブロックを使って逃がしている.100mm長のシャフトを購入しておけばもっと簡単にできたはずである
  • nanoフライス盤のワーク固定用にと思って購入しておいた1-2-3ブロックが役に立った
  • 厳密には1-2-3ブロックと呼べるのはナベヤ製のものだけなのかもしれない
    Cutting Edge Engineering Australiaではどこ製のものだか不明だが,同じようなもの(サイズはもっと大きいが)をフライス盤を使った動画内でこういっていた.詳しくはわからない
    何かと便利なので,おススメである.Amazonで購入したのだが,ペアブセットという商品である
  • ハウジングがはまって主軸を動かしてみたが,ガタは皆無であった.安心して,ビス止めである
  • 次いでスラストベアリングなのだが,せっかく買ったものなので使用することにする.しばりばめがうまくいってシャフトは落ちてこないので使用は必須ではないが念のためである
  • ここで,スラストベアリングを戻そうとして気づいたことがある.2枚あるパーツ(軸軌道盤と呼ぶらしい)の穴のサイズが,目視でも明らかに違っている.一回目の換装で気づけよってことなのだが.そこで調べてみた
    当然なのだが,こういう原理,仕様なのであることが分かった.もし,軸軌道盤が2枚ともシャフト(動く方)に固定されていたら回らなくなる,あるいは抵抗が大きくなってしまうからのよう.一般的には動く方に隙間を作るという記事があったので,今回は,動く方がシャフトで,動かない方がハウジングにはめ込んであるベアリングとなるため動画のような順番でセットした
  • あとは,主軸タイミングプーリーを固定して完了である

はたして効果はあったのか?

  • 結論としては,大成功である
  • ギアボックスアセンブリをnanoフライス盤に戻して,換装前と同じように主軸を手前に加圧して,ダイヤルゲージで確認した
  • 換装前:0.1mm → 0.01mm
  • ついでに,主軸を手で回してどうなるかを確認した.これも0.01mmと良好であった