- nano旋盤の改造を楽しんでいると,フライス加工できたらいいなと思うことがある.Aliexpressにはnano旋盤のパーツを使ったフライス盤があるの見つけた.一見して改造の余地ありである.また楽しめる
- 早速Aliexpressで購入.nanoフライス盤と命名した
- 手に取ってみてもやはり補強や改造,機能追加のプランが浮かんできた
- つもりつもってまあまあの散財となったが,nanoフライス盤ポータビリティは最高である
- ベースとなった商品は下記のものである.送料はさすがに約6000円とお高いがあきらめるしかない
- ある程度改造が進行した状態からこの記事を書いている
- まずは最低限の補強が必要である.nano旋盤と同じくベースがプラスチックなので鉄板に固定した
- nano旋盤と共通部分が多いので詳細は別記事の下記リンクを参考にどうぞ
- ただしベースとなる鉄板サイズが大きくなっている.横山テクノさんから購入
黒皮鉄板 厚み:4.5mm 横:350mm 縦:250mm 1,600円 重量:3.092kg
クロネコヤマト宅急便80s (1,100円) 合計金額:【 2,700円税込 】
かなり大きいが,容易に移動ができるサイズ・重さである - 垂直に立てるマシンベッドは,パーツを追加して補強した
- X軸の送りテーブルはステッピングモータで半自動送りとする.nano旋盤と異なり,左右両方にマイクロスイッチを設置して制御する
- Z軸は見やすいように送り量をデジタル表示とした.パーツはAliexpressで購入した
- 主軸回転数をデジタル表示する.nano旋盤と共通である
- 制御用のコンソールを製作し,各種コネクタで接続.nano旋盤と共用する
・12V 10A スイッチング電源
・回転のスタート/ストップはフットペダル仕様
・デジタル回転計を実装
・回転制御はソフトスタートのPWM制御のAliexpressで購入したものを実装
・X軸はステッピングモータで制御.左右の位置をマイクロスイッチで検出
・左右送り方向切り替えのトグルスイッチ
・送りスピード制御用のボリューム実装
この制御用コンソールは,別記事とする予定 - コレットをER11規格へと変更.伴って,主軸をφ12mm へと変更する
- ギアボックスアセンブリのモーターと,タイミングプーリー・ベルトを10mmへと変更する
- インサートナットを加熱するツールを製作した.その温度制御を行うデバイスを入れるためのアルミダイキャストケースの穴あけにnanoフライス盤を使用した
- インサートナットをのせたアルミブロックをヒーターで加熱,サーミスタで温度を計測,OLEDに表示させる
- Arduino Pro mini であらかじめ指定した温度に維持できるようにする
- 結局,OLEDの表示にエラーがありボツとなった
- また,加熱されたインサートナットは小さいため,熱容量が小さいためかすぐに温度が下がり圧入が途中で止まってしまった
- その後,インサートナットははんだごてのこて先にnano旋盤で旋削した真鍮棒をつける方法へ変更した.これはうまくいった
- アルミダイキャストケースは切削性に優れる.ドリルやステップドリルの加工がすごくやりやすい.エレキギターのエフェクターのケースに使われることで有名である
- 一般的にはドリルやステップドリルで開けた穴をやすりで角穴加工することがほとんどだと思う
- ステップドリルはほとんど2mmステップであるが,1mmステップのものを持っていると便利である
- nanoフライス盤を初めて使ったが,面白かった.その素材から案外簡単に穴あけができた
- エンドミルはAmazonで購入したφ6mmを使った.これも問題なし
- 結果として,改造に自信が持てた.ポテンシャル高いと思う
- 標準搭載のモーターはサイズから550と思われる.モーターのプチ解説はこちら
- これをパワーアップしたかったのでモーターの選定を行った.まず浮かんだのが775である.しかしこのクラスはさすがにでかかった.ギアボックスアセンブリから大きく電極側にはみ出してしまう.モーター固定ネジのネジ穴(スロット状)も位置が合わない.さらに,筐体の厚みから強度の心配がある
- Aliexpressでいろいろ探したが,570が使用可能な最大のモーターではないかと判断した.たとえは590とか595とかありそうだが,検索しても出てこなかった
- 標準搭載の550と比べて全長で8mm長い.出力だと65Wとわずか5Wではあるが強力である
シャフト径は3.17mmと同じ,モーター取り付けネジ穴間も同じである - タイミングプーリーを変更して減速させるため,ギアの交換ができることが望ましい.主軸側のプーリーのみの変更でも減速は可能であるのだが,GT2規格のベルトを使いたかったので外すのは必須であった
- 強力に圧入されており,これを外すのが一連の改造の肝となった.ピニオンギアプーラーをAmazonで購入してみたが全然使い物にならず.赤いのがそれ.ただし今回のケースではだめであってもモーターによってはよい商品かもしれないのでご留意いただきたい
- どこがNGだったかというと,ギアとモーターの間に入れ込む部分がアルミのため,変形してしまう可能性がある
- もう一点は,ハンドルで回すという基本的な設計思想である.細くて短いので手に食い込んで痛い!
そのため,前項の変形段階までもたどり着けていない.いろいろ改造も考えたがまずは物色・・・ - そこで,Aliexpressで良さそうなプーラーを見つけた.赤いのの左のもの.これはステンレス製でものすごく丈夫でちょっとやそっとでは変形しそうもない(とネットでは思えた).しかも,M6の6角ビットを使えるため力をくわえやすいと考えた.速攻注文.ちょっと時間がかかったが,無事到着
- nano旋盤でもモーターを570へ交換したのだが,その際にピニオンギアが外せないのでリューターで削り取ったという苦い経験から,プーラーを何としても見つけたかった
- nano旋盤の改造で痛い目を見たので,570モーターでピニオンギアとモーター本体との間隔があいている物を探したら良さそうなものを見つけた.さすがAliexpressである
- 商品画像では間隔が開いてはいるのだが,到着するまでは不安であった.しかし結果はGood!
- 早速プーラーを差し込んで,ギアを抜こうと思ったが,シャフトに入らない.モーターのシャフトに差し込むスロット部分の幅が3.12mmとかなり狭い.そこで,手持ちの板状のやすりで成形した.
- ちなみに3.17mmというのは1/8インチなので中途半端なのだろう.板やすりはインチ規格で作られたものだろう
- 6角のビットを,ラチェットドライバーにつないで回していくと,超簡単に抜けた!
モーターは絶対にこれ!
- 紹介してきたプーラーで外す方法には大前提がある.それはピニオンギアとモーターの距離がプーラーの厚みより大きな570モーターを購入することである
- いろいろと探したがこの商品しか見つからなかった
- モーターの選択は絶対これにすべき!
- Aliexpressショップ・商品リンクはこちら
- ギアボックスアセンブリに入れる前に,ノイズ対策を行う.一般的な方法として0.1uFセラミックコンデンサを各極端子とモーター缶にはんだ付けする
- もう一つの青いのは,バリスタ(ZNRともいう)である.これは端子間にはんだ付けする
- モーターのような負荷の場合,急に停止した時に大きな逆方向の電圧が端子にかかり回路を壊してしまう可能性がある
- 今回の改造でチャックの慣性質量が大きくなっているので,より大きな逆起電力が生じると思われる
そこで,バリスタを追加しておくことにした.こちらがよくわかる記事です - 秋月電子通商から購入したサージ吸収素子(バリスタ)270Vを使用した.この選定が正しいかは不明
- 電源関連の工作の時に,結構使うので,切らさないようにストックしておくようにしている
- コンデンサやバリスタのリードは結構太くて取り回しが難しい
ホーザン(HOZAN) ピンセット P-886を使うとうまく曲げられる.お試しあれ
ニッパーはフジ矢 スモールニッパ 110mmを買ってみた.Amazonで高評価かつサクラチェッカーでも高評価であったため.使ってみるとかなりいい.さすが安心の Made in Japan - 電源コネクタは18AWGを使用している外径5.5mm,内径2.1mm,センタープラスのもの
nano機械工作の電源には,統一してこれを使っている.大きめの電流なので太いケーブルのものを選択しないといけない - ギアボックスアセンブリの横から出す形状になっているので,ケーブルは画像のような向きではんだ付けする
- 極性であるが,モーターの赤印がついているほうにケーブルの黒(負極)をつなぐ
- ケーブルは太いので,フラックスを使い予備半田しておく.これ重要
- はんだごての温度は高めに設定する.ケーブルが太く,モーターに熱を奪われるので420度にした
通常の電子工作では370度で行っているので,かなり高い - こて先は白光(HAKKO) こて先 2C型を使っているが,何かと使いやすいこて先である
- ちなみに,使用後は温度が下がりきる前にはんだをこて先に盛っておくのがいいらしい.はんだ付けの達人の記事から得た情報.こて先が長持ちするらしい
- 570モーターは8mmほど長いので後ろにはみ出す.そのため,3Dプリンターでスペーサーを製作した
- 固定ネジも当然長くなる.M3 25mm タッピングネジがちょうどよかった
- ケーブル保護のためポリオレフィンの収縮チューブを使った
- 収縮させるのにいろいろな方法が知られている.はんだごて,ヒートガン,ライターなど
- いずれも難しい.熱が足りないようである.そこで新富士バーナー ポケトーチを使ってみた
これ最高! おススメである
- モーターをギアボックスアセンブリに固定するネジはM3ネジなのだが,デフォルトではプラスの鍋ネジである
- 締めこむと,アルミダイキャストと思われるモーターマウントに食い込んで圧痕ができる
- そこで,M3 6mm のキャップボルトに,ゆるみ止め,圧痕防止でスプリングワッシャとワッシャを使用した
- 圧痕が,滑り止めになっているのかもしれないが,タイミングベルトの長さが変わるとモータ取り付け位置がずれるので,その際圧痕があると不都合である.これで特に不具合は出ていない
- モーターを固定しているのはgoot(グット) 耐熱・導電シリコン使用マルチクランプである.電子工作系ではそれなりの人気商品である.各種はんだ付けの際に,対象物を固定しておく台なのだが,これがないとモーターの固定には相当苦労する.ちょっとお高いが,買って後悔はしない
- モーター端子の赤印側に電源ケーブルの黒い方の線(負極)を接続する
- 回転方向がこの方向になるように接続する
- コレット規格はER11,シャフト径12mmとしたので,シールされた形態のベアリングは
外径26mm 内径12mm 厚み8mmとなるため 12268RS となる - ギアボックスアセンブリからベアリングを外し,新しいベアリングをはめ込み,シャフトを通す
- この主軸シャフトに70歯タイミングプーリーを装着すれば完了!
- と目論んでいたが,実際はそんな甘いものではなかった・・・
- 内容が濃すぎたので,別記事とします
- 順番が前後してしまうが,ベースへの固定や立ててあるマシンベッドの補強,ギアボックスアセンブリの固定などを記事にする予定
- 別記事とする予定